サン・ジョバンニ洗礼堂
サン・ジョバンニ洗礼堂は、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の正面に向き合っている八角形の建物です。ロマネスク様式を用いた建築物のひとつでもあります。この建物は古代ローマ時代に建立された神殿が、5世紀頃にキリスト教の聖堂にかわり、1059年、法王ニコラウス2世の奉献によって、美しいロマネスク様式の建築物になったそうです。1128年、サンタ・レパラータ聖堂が完成すると同時に聖堂の役割を終え、洗礼堂となりました。
この洗礼堂は最も歴史のある建物であり、11世紀に起工された建物であります。そして、フィレンツェを守ってくれる聖人サン・ジョバンニ(聖ヨハネ)に捧げられたものです。
13世紀には屋根も建設され、中には『最後の審判』『洗礼者ヨハネ伝』『キリスト伝』などの金地のビザンティン風のモザイクで覆われたクーポラ(天井)が建てられました。外壁が白と緑の大理石で飾られており、3層に分かれています。1層目は円柱と柱が、2層目は八角柱とアーチと窓が並び、最上部は縦に溝がある古代風の付け柱で仕切られています。
サン・ジョバンニ洗礼堂には対立(ローマ法王に反対した)法王ヨハネ23世の墓があり、ドナテッロとミケロッツォによって作られました。床は簡単なモザイク模様で、壁画下部には大理石模様が描かれています。
この洗礼堂で最も有名なのは扉です。この洗礼堂には南・北・東に門がありますが、3つあるうち、南の扉が一番古く、1330年にアンドレア・ピサーノによって作られました。北の扉は1400年代始めのオーディションによってロレンツォ・ギベルティーに発注され、1402年〜24年にかけて作られました。東の扉も同じくロレンツォ・ギベルティによって1425年〜1452年の長い時間をかけて作られ、後にミケランジェロが「天国の門」と名前をつけたことは有名です。現在サン・ジョバンニ洗礼堂にあるのはレプリカで、本物は大聖堂付属美術館に移されています。
南側の扉『洗礼者ヨハネの生涯』 ピサーノ作
北側の扉『キリストの生涯』 ロレンツォ・ギベルティ作
東側の扉『天国の門』 |